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AIは何を見間違えるか — 通行量計測の「誤検出の型」と直し方

AIの間違いはランダムではなく、型があります。持ち物との混同・静止者の揺れの水増し・追跡の取り違え——3つの型それぞれの直し方と、「直した量」まで報告させる検収の観点を紹介します。

山本 新山本 新

「AIは正確ですか」と聞かれたら、私たちは「間違え方には型があります」と答えるようにしています。AIによる通行量計測の間違いは、ランダムではありません。決まったパターンで起き、パターンごとに決まった直し方があります。

よくある見間違い、3つの型

型1: 持ち物と人の混同。スーツケースを引いた人は、瞬間的に「人」ではなく「スーツケース」と判定されることがあります。通過の瞬間にたまたま見間違えていると、その人が集計から抜けます。

型2: 立ち止まっている人の「揺れ」。行列や信号待ちで立っている人がわずかに揺れると、計測線をまたいで何度も「通過」が記録されます。1人が数回分に水増しされる方向の誤りです。

型3: 追跡の取り違え。柱や屋根の陰に人が隠れると、AIは同じ人を別人として追跡し直すことがあります。区切り方によっては、1人が2人と数えられます。

型ごとに、機械的に直す

重要なのは、これらを「担当者が目で見て気づいたら直す」のではなく、機械的なルールで直し、直した量を記録することです。私たちの場合はこうしています。

  • 型1(見間違い)→ 一瞬の判定でなく、その物体の全時間の判定の多数決で決める
  • 型2(揺れの水増し)→ 線のすぐ近くでの短時間の往復を、対にして相殺する
  • 型3(追跡切れ)→ 追跡が切れて生まれた重複を検出して除外する。つなぎ直した件数は画面に表示する

そして、どの補正も正解データのある地点で、補正の前後の数字を確認してから入れています。補正は諸刃の剣で、効かせすぎれば本物の通行まで消してしまうからです。実際、補正が本物を消していないかを1件ずつ動画で確かめる監査を、数字を出す前の標準工程にしています。

「AIの精度」は1つの数字ではない。間違いの型ごとに、起きる量と直し方と検証方法がある——ここまで説明できる事業者かどうかが分かれ目です。

数字への影響直し方
持ち物と人の混同数え漏らし(過小)全時間の多数決で判定
静止者の揺れ水増し(過大)短時間の往復を相殺
追跡の取り違え二重カウント(過大)重複検出・つなぎ直し(件数を表示)
見間違いの型と方向

発注者として、何を確認すればよいか

  1. 誤りの型ごとの補正内容と、補正した量が報告されるか(合計だけでは補正の大きさが見えない)
  2. 補正の効果検証を、正解データ付きで行ったか
  3. 補正が大きすぎる地点を「確定値を出さない」扱いにする基準があるか

おわりに

AIの間違いは、隠すものではなく分類するものだと私たちは考えています。型が分かれば直せて、直した量が見えれば信用できる。「間違えません」と言う計測より、「こう間違えるので、こう直しています」と言える計測のほうが、施策の根拠には向いています。

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