都市データ活用
人流データ・EBPM・ウォーカブルシティなど、自治体の意思決定に役立つ実践的なナレッジ

視察される街と、物差しになる街 ― 10年後に引用されるのは、称賛された街ではない
全国から視察された街は多い。だが10年後、他の街が自分を基準に測ってくれる「物差し」になれる街は少ない。分けるのは成功でも称賛でもなく、共有された定義の上で測られたかどうか。そして比較可能性は、計測を設計する時にしか埋め込めない。
「精度は何%ですか」に一つの数字で答えない — 交通量調査の仕様書で先に決める4項目
AI映像解析の交通量調査で、精度%を一つの数字で書くと検収で揉めます。国交省の機器仕様書(令和8年1月版)が精度要件の前に決めている4つ——対象と範囲、入力条件、精度の時間帯と範囲外の協議、欠測の閾値——を、転記できる文例つきで。
交通量調査の停車データを、集計表ではなく1件1行で納める
交通量調査で停車を測るとき、集計表は集計した時点で元の粒度を失います。停車1件ごとに開始・終了・秒数を持つCSVを納品物にすると何が変わるか。京都の実測(3分3秒・結合前36件→結合後27件)と、仕様書で決めておく7項目。
産官学でまちを測る — 三者実証を機能させる設計
自治体×大学×企業の実証は、欲しいもの(判断材料/論文/事業化)が三者で違うまま始まると、成果をまとめる段階で噴き出します。三者の成果物を最初に文書化する・データの帰属と公開ルール・卒業しても消えない継続性——機能する三者実証の設計。
平時の計測は、災害時に何ができて何ができないか
「災害時にも使えますか」——防災は予算の言葉として強いからこそ、正直に線を引きます。できるのは平時のベースラインと事後検証。できないのはリアルタイム避難誘導の保証。平時9割・災害1割という現実的な位置づけについて。
「隣の市と比べたい」の落とし穴 — 都市間比較が成立する条件
他都市比較は政治的に最も需要があり、計測的に最も成立しにくい数字です。定義・地点の性格・手法の3つの壁と、「自市の経年変化」に主戦場を移す現実解、「比較できません」の実務的な言い方について。
通学路の「危ない」をデータで語る — 要望が通る言葉のつくり方
「危ない気がする」が対策(規制・改良)になるまでの距離を縮めるのが観測です。「7:40〜8:10に車両120台・通過交通7割」という言葉の力と、子供が写るからこそ先に固めるプライバシー設計、対策につながる4つの計測項目。
「来場者数◯万人」はどう作られているか — イベント効果の測り方
主催者発表の来場者数は、定義も記録もないまま前年比だけが独り歩きしがちです。そもそも来場者数は企画の質に答えない指標。滞在の分布・周辺への波及・時間帯の形という3つの代替指標と、それでも来場者数を出すときの作法を紹介します。
雨の日、カメラは何を見ているか — 環境条件と計測品質
傘は頭部を隠し、逆光は歩行者を背景に溶かし、真冬の厚着はシルエットを変える——カメラ計測は条件で精度が変わります。それを隠さず「条件を記録して管理する」実務と、全天候で高精度を謳う提案より信頼できる提案の見分け方。
そのデータは誰のものか — 委託調査のデータ帰属を契約で決める
「あのときの生データで別の集計をしたい」——1年後のこの依頼が通るかは、契約で決まっています。データ・定義・記録の帰属、汎用形式での引き渡し、保持と破棄。仕様書に書くべき3点と、実は事業者側も「持ちたくない」という話。
その「リアルタイム」は本当に必要ですか — ダッシュボード要件の断捨離
「リアルタイム表示」は要件定義に必ず入ってくる言葉ですが、行政の意思決定サイクルに本当に要るのは「問いが立ったとき遡って再集計できること」です。リアルタイム要件の見えないコストと、速報値/確定値を分ける設計、要件を削るチェックリスト。
カメラだけが答えではない — 通行量計測の手法の使い分け(正直版)
カメラ・レーザーカウンタ・Wi-Fiセンサ・携帯電話網の統計データ——それぞれの得手不得手を、カメラ事業者の立場から自社に不利な点も含めて比較します。「面はキャリア統計、点はカメラ」などの組み合わせ方と、手法でなく問いから入る調達の考え方。
